薬を使用することで離脱症状が緩和する
禁煙を始めると最初の数日間に離脱症状が現れます。これらの症状は禁煙開始から2~3日をピークに、10日から2週間ほど続くことが多いとされています。しかし、禁煙補助薬を使用することで症状が緩和され、よりスムーズに禁煙を進められます。日本では「ニコチンパッチ(貼り薬)」や「バレニクリン(飲み薬)」が主な禁煙補助薬として使用されています。また、「ニコチンガム」も一般医療用医薬品として市販されており、そちらも利用可能です。
禁煙補助薬を使用すると、禁煙の成功率が大幅に向上します。たとえば、自力で禁煙する場合に比べて、ニコチンガムは1.5倍、ニコチンパッチは1.6倍、バレニクリンは2.2倍も成功率が上がるとされています。実際、禁煙外来で治療を受けた人のうち約80%が4週間以上の禁煙に成功し、そのうち約50%が9ヵ月後も禁煙を継続しているという報告もあります。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
ニコチンガム
ニコチンガムは、口腔粘膜からニコチンを吸収するタイプの製品で、薬局や薬店で購入できます。短時間で効果が現れるため、急なニコチン欲求を和らげたい時に便利です。使用方法も簡単で、ガムを噛むことでニコチンが少しずつ放出されます。ただし、唾液にニコチンが含まれることになるため、ガムを噛みながら唾液を飲み込まないように注意しなければなりません。
ニコチンパッチ
ニコチンパッチは皮膚に貼り、そこからニコチンを吸収させる製品です。薬局や薬店でも購入できますが、市販のニコチンパッチはサイズが小さめです。禁煙外来で処方される医療用パッチのほうがサイズが大きいため、より効果的とされています。ニコチンパッチは持続的にニコチンを供給するため、禁煙中のニコチン離脱症状を和らげる効果があります。貼る場所は上腕や背中、お腹などが適しています。市販されているニコチンパッチは就寝前に剥がすタイプがほとんどですが、禁煙外来で処方されたニコチンパッチは寝ている間も貼りっぱなしにできます。ただし、かゆみが生じた場合は使用を控え、すぐに医師や薬剤師に相談する必要があります。
バレニクリン
バレニクリンはニコチンを含まない禁煙補助薬で、禁煙外来でのみ、処方されています。薬局や薬店では購入できません。バレニクリンは脳のニコチン受容体に作用して喫煙による満足感を抑え、離脱症状を緩和します。この薬は禁煙を開始する7日前から食後に服用し始め、その後は段階的に服用量を増やし、8日目から本格的に禁煙を始めます。